2020 Summer BOOKs

10月となり北海道では日に日に寒さが増してくる季節になりました。

テレビやチラシなどでも餅をつくウサギのイラストをよく見るようになりましたね。

今年の夏休みはコロナでどこもいけず、本をたくさん読んでいたのでそれらの内から5冊をご紹介したいと思います。

秋と言えば「読書の秋」。

気になったのがあれば、秋の夜長にいかがですか?

 

 

スノーデン独白 消せない記憶

エドワード・スノーデン」という方をご存知でしょうか?

一言でこの人を表すなら以下の通りです。

「元CIAとNSAの職員で米国の大量監視システムの告発者」


CIAは多くの人が聞いたことがあると思いますが、諜報活動などを行っているアメリカの組織です。

一方でNSAは日本語では「アメリカ国家安全保障局」と訳され、この組織も様々な情報を集めています。

CIAがスパイなど人によって情報を集めることが多いのに対し、NSAは主にコンピューターを使うというのが両者の違いらしいです。

話を元に戻しますが、スノーデンはCIAとNSAの両方で働いていました。

彼は元々母国であるアメリカに貢献したいという思いでこれらの仕事をはじめますが、内情を知るうちに「これは正しいことなのだろうか?」とアメリカの諜報活動に疑問を感じるようになります。

彼が告発したシステムの中に「PRISM」というものがあります。

これはGoogle、Yahoo、Apple、YouTubeなどのユーザーの利用履歴、写真、文書などを収集するプログラムのことです。

「自分がGoogleで検索したことを知って何の意味があるの?」と思う人も大勢いると思います。

しかしこのプログラムでは検索した場所や時間などの”メタ情報”も分かるので、世界中の人がどこで何をしていたかも分かってしまうのです。

また、反アメリカ思想の記事や動画などを見れば”要注意人物”としてマークもされてしまいます。

このPRISMの他にも「XKEYSCORE」というプログラムがあったそうです。

これはGoogle検索のようなものなのですが、その検索対象は非常に多岐に渡ります。

例えばこのプログラムで僕の名前を打ち込めば、僕のチャット履歴、通話履歴、メール、個人ファイル、facebook、twitterなどありとあらゆる情報を見ることができます。

本当に恐ろしいです。

この本ではスノーデンの幼少期から、9.11、CIAとNSAでの仕事、そして告発の決心から、国外逃亡までの流れが書いてあります。

また、9.11以降アメリカがどのように国防を強化したか、またスパイ映画などでしか聞いたことのないCIAやNSAなどの諜報機関がどのような活動を行っているのか、その内情を知ることができます。

こういう話を知っていると今話題の5GやTikTokなどをめぐった米中の対立を今までと違う視点から見ることができるようになると思います。

国内でもドコモ口座の不正などで個人のデータの取り扱いにも関心が高まっている最中だと思います。

この本を読むことで、デジタル社会に生きる僕たちがどのようにデータを扱っていけば良いのか考える良いきっかけになると思います。

おすすめです!

ちなみに「スノーデン」というタイトルで映画があるのでそちらも是非!
Netflixでも見られます。

名画で学ぶ経済の世界史

僕自身かなり美術というものに疎くて、というかほとんど無知だったので以前から少し勉強したいと思っていました。

そんな時にこの「絵画」と「世界史」を絡めて学べる本を発見。


本書にはおよそ50点の絵画や聖堂などの写真があり、地図のイラストも多数あります。

それに、非常に読みやすく、ユーモアがある文章となっているのでさくさく読み進めることができると思います。

今まで何度か目にしたことのある有名な絵画の裏にはこんな物語があったのかと、それらが描かれた当時の時代背景が分かり、「なるほど~」となりました。

また、画家一人一人にスポットライトを当ててじっくり解説していくので、その人がどの絵を描いたのかはもちろんのこと、どのような生い立ちなのかも知ることができます。

個人的には、マネ、モネ、バジール、ルノワールの4人がすごく親しくしていたということに驚きました。

「何となくしか聞いたことのない名前」の画家について深く知ることができて非常に良かったです。

ただ、本の題名に「経済」と書かれていますが少ししか触れられていなかったと思います。

中世のヨーロッパの歴史を「絵画」という視点から学べる素晴らしい本だと思います。

フェイスブック 若き天才の野望

2020年時点でおよそ27億人のユーザーを持つ「Facebook」。

「GAFA」の一角を占める、言わずと知れたアメリカの大企業です。

そんなfacebookもハーバード大学の寮の一室で生まれました。


この本ではfacebookがどのようにして生まれ、そしてどのように大企業に成長していったかが書かれています。

会社が大きくなるにつれて色んな問題が出てきますが、それらを解決しなければならない場面ではハラハラすることもあるので読んでいて飽きません。

ただ、僕と同じくらいの年齢の人たちがこのような大きなサービスを生み出しているので、尊敬すると同時に少し悔しくもありますね笑

起業を考えている人や、プログラミングをする人などが読むと一層面白いと思います!

こちらも、「ソーシャルネットワーク」という名前で映画があるので是非!

図解 世界5大宗教全史

日本ではどうしても宗教と聞くと「カルト」のイメージが最初に出てきてしまいとっつきにくかったり、学校でも習わないので大人になってもあまりよく理解していない人は多いのではないでしょうか?

日本人にはあまりなじみが無い宗教ですが、海外に出てみると、ごく当たり前に生活の一部として存在します。


世界の歴史などは宗教が原因となっている出来事が非常に多いので「一部」というよりはむしろ「中心」と表現した方がいいかもしれません。

現在でもロヒンギャ問題、ウイグル自治区、パレスチナ問題などは大きな課題となっていますが宗教が原因ですよね。

それらをきちんと理解するためにはやはり宗教について少しでも知らないといけないと思うのです。

また、外国人の知人がいる場合にも彼らを理解するためには宗教の知識は必要だと思います。

そこでこの本です。

本書では5大宗教である仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教の成り立ちや、歴史、どのような信仰であるかを知ることができます。

特に仏教の章では日本の仏教についても知ることができるので非常に勉強になります。

日本史でも仏教については習いますが、教科書では結構バラバラに書かれていて、仏教だけを体系的に学べる機会と言うのはありませんでした。

世界、そして僕たちの住む日本を正しく理解するためにも宗教について一度勉強してみてはいかがでしょうか?

鎖塚

北海道で長距離ドライブなどをすると「こんな長い道をだれが作ったんだろう」とふと疑問になることがあります。

北海道は19世紀中頃までは未開の地でした。

それを最初は屯田兵が開拓をはじめ、後に道路工事のために多くの囚人が北海道に送り込まれることになります。

この本はその囚人労働について書かれた本です。


北海道の観光名所の一つとして「網走刑務所」があります。

北海道に住んでいる人であれば行ったことのある人も多いのではないでしょうか?

実はその刑務所もこのように収監した受刑者を労働力として利用する目的で建てられました。

囚人を利用したのは安く労働力が手に入れられたからです。

彼らは非常に狭い部屋で生活しながら、身体的に負担が大きい肉体労働を延々とさせられました。

ブラック企業どころの話ではないです。

このようにひどい扱いですから残念ながら、働いている最中に命を落とす人も大勢います。

そのような人たちは道路のわきに埋められ、その上には彼らをつないでいた鎖が置かれました。

これが「鎖塚」という名前の由来です。

このような人たちの貢献があって今の北海道があるんですね。

北海道に住んでいる人であれば是非読んでもらいたい一冊です。


どれも面白いので是非読んでみてください!

ちなみに本は以下の記事でも紹介しています。

獣医学生の本棚