皆さんは「鳥の足を描いてください。」と言われたらどんな足を描きますか?
おそらく、大半の人が3本指の足を書くのではないでしょうか。
しかし実際にはもっとたくさんの種類があり、その鳥がどのような生活をしているかを教えてくれたりもするのです。
猛禽類の足の最も大きな役割は獲物を捕らえることです。
一方、水禽での足の役割は水泳、歩行、そして着陸する際の衝撃吸収です。
このように同じ鳥類でも種類によって足の役割が全く異なっています。
様々な環境や生活様式に応じて鳥の足は他の脊椎動物の足とは大きく異なる進化を遂げてきました。
趾の種類
Anisodactyl(三前趾足)
最も一般的な構造です。
スズメ目、タカ目(ミサゴを除く)。
Zygodactyl(対趾足)
X型の構造をしています。
このグループはさらに、
第4趾を前方、後方に動かせる「可変対趾足」、
第4趾の可動域が広い「外対趾足」、
第1趾がない「外対趾足」の「三趾外対趾足」、
「変対趾足」(以下で紹介)
に分けられます。
カッコウ目、オウム目。
Heterodactyl(変対趾足)
第1趾・第2趾が後方を向きます。
Zygodactyl(対趾足)のグループに含まれることもあります。
“Trogon”という鳥だけで見られる構造です。
Syndactyl(合趾足)
第2趾・第3趾が癒合しています。
ブッポウソウ目で見られます。
Pamprodactyl(皆前趾足)
全ての趾が前方を向きます。
アマツバメ亜目、アブラヨタカ科。
Zygodactyl(対趾足)には数種類ありました。
鳥の種類によって同じ対趾足でも微妙な違いがあるのです。
この事から、フクロウ、オウム、その他の対趾足の鳥は、この構造を独自に進化させてきたと考えられています。
この現象は生物学の用語では収束進化(収斂進化)と呼ばれています。
収束進化(収斂進化)
異なる生物が同じような環境に生息している場合、類似の形質を独自に獲得すること。
イルカ(哺乳類)とサメ(魚類)が良い例です。
他にも、オーストラリアに生息する有袋類が真獣類と同じような形態を持つのもこのためです。
例)フクロモモンガとモモンガ、フクロオオカミとオオカミ
一方で、一切空を飛ばず常に地面にいる鳥はどのような足をしているのでしょうか。
エミューは第1趾が退化し3本指です。
陸上で最大の鳥であるダチョウはさらに第2趾も退化し、2本しか指を持ちません。
この事からダチョウの方が走ることに特化していると予想できたのでそれぞれの走るスピードを調べてみました。
そしたら何とダチョウの方が約20km/hも早く走れることが分かりました。
見た目はかなり似ているのに、足の指の本数が異なるとこんなにも差が出るんですね~
足ひれの種類
Palmate(蹼足)
3本の趾にまたがって水かきがあります。
カモ目、ミズナキドリ目、ペンギン目、アビ目、フラミンゴ目、カモメ目、ウミスズメ目
Totipalmate(全蹼足)
全ての趾の間に水かきがあります。
ネッタイチョウ目、カツオドリ目(グンカンドリ科、カツオドリ科、ウ科、ヘビウ科)、ペリカン科。
Semipalmate(半蹼足)
退化した水かきが第2、3、4趾にまたがって存在します。
コウノトリ目、セイタカシギ目。
Incised Palmate(欠蹼足)
切れ込みの深い水かきが第2、3、4趾にまたがって存在します。
Lobate(弁足)
第2、3、4趾の周りにひだが形成されます。
このひだは泳ぐときに拡大・収縮します。
カイツブリ目、オオバン属、ヒレアシ科、ヒレアシシギ科。
少し話はそれますが足は体温調節の役割も果たしています。
カモメ、サギ、アヒル、ガチョウ、ペンギンなどの足では動脈と静脈が向かい合って走っており、動脈が含む熱は血液が足の先端に到達する前に静脈中の血液へと吸収されます。
この構造が無いと血液が足の先端を通過する際に外に逃げていってしまいますが、これによって熱を体の中に留めることができています。
こんなにも鳥の足には種類があったのには驚きましたね!
今度鳥を見る際はどんな足の構造をしているのかよく見てみると面白いかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
参考
・ “Manual of Ornithology” Noble S. Proctor & Patrick J. Lynch Yale University Press
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%BE_(%E9%B3%A5%E9%A1%9E)
・https://en.wikipedia.org/wiki/Bird_feet_and_legs
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