狂犬病ってどんな病気?獣医学生が解説!

「狂犬病」という名前の病気をだれもが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
日本では犬の登録、ワクチン接種、野良犬の減少などで撲滅されているので普段はあまり気に留めないですよね。
しかし、世界的に見れば狂犬病はまだまだ大流行している病気で、毎年多くの人が亡くなっています。
旅行などで海外に出る人は予防接種などを受けている人が多いですが、そもそもどんな病気であるかを知らない人が多いと思います。
なので今回は狂犬病について説明したいと思います!

どんな病気なの?

出典: http://www.abcdcatsvets.org/rabies/

狂犬病の原因はラブドウイルスというウイルスです。弾丸の形をしています。
人を含むすべての哺乳類に創傷感染します。
野良犬やコウモリが問題となることが多いです。
日本に住んでいては実感がないですが、毎年世界でなんと5.5万人ほどが亡くなっているとされています。

潜伏期が非常に長いことが特徴です。
発症すれば死亡率100%の恐ろしい病気です。

症状

出典
https://www.jsvetsci.jp/veterinary/infect/01-rabies.html
https://www.thezambiansun.com/livingstone-records-two-rabies-deaths/

傷口より体内に侵入したウイルスは中枢神経に達し、神経症状を引き起こします。
犬ではほとんどが興奮状態となり、視界に入ったものを頻繁に咬んだり、光や音に過敏に反応します。その後、麻痺状態となり死亡します。しかし中には最初から麻痺状態の犬もいます。
興奮気味の野良犬を見かけた場合は決して近づかないようにしましょう。

これは犬での症状ですが、人ではどうなのでしょうか。
人でもほとんど同じで、最初は発熱や食欲不振から始まり、その後興奮、麻痺、幻覚、精神錯乱などの症状が現れ、最終的に昏睡状態となって死亡します。

症状が現れた場合治療方法はなく、死亡率は100%です。

ウイルスが体内に侵入してから発症するまでのメカニズムです。
狂犬病のウイルスは神経を介して移動します。傷口から侵入したウイルスは末梢神経、中枢神経と移動し最終的に脳まで達します。脳でウイルスは増殖し、その後再度神経を移動して体全体に移動して症状が現れるようになります。

ウイルスは脳以外に唾液腺でも増殖します。そのため唾液とともにウイルスが排出されます。
このような仕組みで狂犬病の犬がほかの犬や哺乳類に咬みついて狂犬病が広がっていきます。

ウイルスが神経を移動するのには時間がかかります。なのでこの病気の潜伏期は非常に長く、1~2か月とされていますが、半年以上かかることや時には7年要したという例も人で報告されているそうです。

世界での発生状況

日本は数少ない清浄国です

赤で塗られている国で狂犬病が発生しています。
この地図からも狂犬病が世界的にまだまだ蔓延している病気だと分かると思います。
特に濃い赤で塗られている国は毎年の死亡者数が100人以上の国です。これらの国に行く際は予防接種を受けるようにしましょう。
詳しい死者数などは厚生労働省が作成している地図をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/index.html

診断方法は?

海外で犬に咬まれた!自分が狂犬病にかかってしまったかどうか知りたい!
…と犬に咬まれてしまった場合なると思います。
しかし、この病気の原因のウイルスは神経に潜伏するため症状が現れるまで診断することはできません。
症状が現れた時にはすでに手遅れなので実質、診断方法は無いと言えます。

治療法は?

”症状が現れてしまったら”治療法はありません
潜伏期間が長いので、咬まれたことを忘れたころに症状が現れ、なすすべ無し…ということになります。
しかし、症状が現れる前であれば対策があります!
次の項目で紹介します!

犬に咬まれてしまった!どうすればいいの?

犬に咬まれたら、まず
すぐに傷口を石鹸と水でよく洗います。(WHOによると15分)
その後現地の医療機関に直行しましょう。
病院で暴露後接種を受けます。暴露後接種とは病原体が体内に侵入した後に打つワクチンのことです。
この接種には方法が色々あるのですが日本の方法を例に挙げると、予防接種していない人では0(咬まれた当日)、3、7、14、28、90日の計6回接種します。予防接種をしている人であれば、0、3日で念のために2回の追加接種をします。
予防接種を受けた人も暴露後接種を受ける、という点に注意してください。

また、予防接種をしていない人は侵入したかもしれないウイルスを拡散させないために、免疫グロブリン(狂犬病ウイルスの抗体)を咬まれた部位に接種します。しかし、免疫グロブリンは非常に高価で入手できる国も限られているそうです。

ワクチンについて

今までの話を聞いていると、「犬に咬まれてもすぐに病院行って、暴露後ワクチン打てば問題ないんでしょ?」と予防接種を受けなくても良いと思ってしまう方がいるかもしれません。

確かにアメリカやヨーロッパなどの先進国であったら必要ないかもしれませんが、途上国でなおかつすごい田舎で咬まれてしまうと、咬まれてすぐ病院に行けないばかりか病院に行っても狂犬病のワクチンを用意していない可能性があります。

ワクチン接種が長引くほどに、死亡率はぐんぐん上昇していきます。
ですが、予防接種を受けていけば死亡率を大幅に下げることができます。

また、予防接種を受けていないと5または6回暴露後接種をしなければならないのですが、海外でそんなに病院行くのは面倒ですよね。予防接種を受けていれば2回病院に行くだけで済みますし、免疫グロブリンを打つ必要もありません。

予防接種について説明します。
ワクチンには大きく分けて、「国産ワクチン」と「輸入ワクチン(海外産ワクチン)」があります。

国産ワクチンは接種回数は3回で、0、28日後、6~12か月後に打ちます。2回目と3回目の間が半年空くので前々から準備しておく必要があります。抗体は2年間持続します。
僕自身もこれを接種したのですが、3回目の接種が日本にいる間にできず、タイでする予定です。(←その後できないことが判明。以下に貼った別記事で詳しく説明)

輸入ワクチンも同じく接種回数は3回なのですが、0、7日後、21~28日後と接種のスパンがとても短いです。
抗体も国産と同じく2年間持続します。

値段についてなのですが、僕が接種した国産のワクチンは1回1万4千円かかりました…
めちゃくちゃ高かったです…
海外で摂取すると日本よりも安いので海外に行く機会があれば海外で摂取したほうが安上がりです。

国産と輸入ワクチンの違いは以下の記事で説明しています。
これだけは覚えておいて欲しいのですが、国産は絶対に打たないでください!
幸運なことに今は生産が終わっていますが、まだ在庫のある病院もあるらしいので…

最後に

最後に伝えたいことは2つです
海外ではむやみに動物に近づかない!
流行地や、途上国に行く際は予防接種を受けてから行く!

動物が大好きな僕でさえもこっちに来てからは、野良犬などを避けるようにしています。
犬が可愛いのはすごく分かりますが、海外では危ないので近づかないようにしましょう。

フィリピンには野良犬がたくさんいます

狂犬病がどれほど恐ろしい病気で、世界ではまだま猛威を振るっているということを理解していただけたでしょうか。
2006年にはフィリピンで咬まれた日本人2人が帰国後に亡くなっています。
今月(2019年5月)もフィリピンにて子犬に咬まれたノルウェー人女性が帰国後に亡くなっています。
今僕はフィリピンに滞在中なのでとても怖いです…
狂犬病は日本では過去の病気ですが、海外に出れば一般的な病気であることを忘れないでください。
病気のことを理解することが、その病気を予防する第一歩だと思います。海外に行く際は予防接種の重要性や、実際に咬まれた際にどうしたらよいかを予め心に留めておくようにしましょう。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/index.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html
https://www.jsvetsci.jp/veterinary/infect/01-rabies.html
http://japantravelclinic.com/vaccine/rabies.html

4 COMMENTS

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です