「ターシャ」という名前のサルをご存知ですか?
このサルはフィリピンのボホール島でとても有名です。
「世界最小」という肩書をもっていますが、よくよく調べてみるとどうやら違うようです。
調べてみると他にも面白いことがたくさんあったので、色々書いていきたいと思います!!
分類
霊長目の動物は大きく、「原猿類」と「真猿類」に分類されます。
ターシャはこのうち、「原猿類」に分類されることが多いようです。
他の原猿類のサルで有名なものとして、ワオキツネザルやスローロリスがあげられます。
しかし中には真猿類に分類する学者さんもいるようで、実際には正確に決まっていないというのが現状なようです。
生息地と種類
ボホール島にしか生息していないと考えている人が多いようですが、ほかのところにもたくさん住んでいます。
また、フィリピンだけでも3種類のターシャが確認されています。
3種類は以下の通りです。
T. philippensis サマル島、レイテ島
T. fraterculus ボホール島
T. carbonarius ミンダナオ島
生息地と種類を地図でまとめると以下のようになります。
また、フィリピン以外にもターシャは生息しています。
ボルネオ島、スマトラ島
the Bornean tarsier (Tarsius pumilus)
スラウェシ島(インドネシア)
the spectral tarsier(Tarsuis spectrum)
the lesser spectral tarsier or pygmy tarsier(Tarsius pumilus)
Dian’s tarsier (Tarsius dianae)
インドネシア、マレーシア
Western tarsier (Tarsius bancanus)
こうしてみてみるとかなり広い地域にわたってターシャが生息していることがわかりますね!
これらの亜種は体の構造がかなり異なっているそうです。
しかし、元々は同一の種類であったと考えられており、生息する島が異なることでその島の環境の影響を受けて体に変化が生じたと考えられています。
ターシャは本当に「世界最小」なのか?
ターシャはよく世界最小のサルと言われています。
観光のチラシなどをみても世界最小とうたわれています。
まずボホール島に生息しているターシャは世界最小ではないです。
なぜなら、スラウェシ島のpygmy tarsier はフィリピンのターシャよりもかなり小さいからです。
この時点ではボホール島のターシャは世界最小ではないけど、ターシャ自体は世界最小であると言えますね。
ですが、実はターシャよりも小さいサルが存在したのです。
それは、 マダガスカル島に生息するpygmy mouse lemur(ピグミーネズミキツネザル)です。
残念ながら、ターシャは世界最小ではありませんでした…
絶滅しそうなの!?
社会が発展するにつれて、ターシャの生息地である島は開拓されていき住処である森林が少なくなっていきました。
それに加えて、ペットとして売買するためや、観光客に展示するために乱獲されます。
展示されていたターシャは狭いケージで飼育されており、 それに加えて、観光客はターシャに餌をあげることができ、触ることもできたため、1日中ターシャは観光客によってストレスを受け、数週間しか生きることができなかったそうです。
このようなことが原因でターシャの数は少なくなっていきます。
1997年に大統領の声明が発表されてから、ターシャはフィリピンで特別に保護される存在となりました。
ですが、ターシャはの絶滅危惧のレベルは準危急種(LR)であって、Vulnerable(絶滅危惧Ⅱ類)、Endangered(絶滅危惧ⅠB類)、Critically Endangered(絶滅危惧ⅠA類)ではありません(かっこの中は環境省によるレッドリストの呼称)。
つまり、そこまで絶滅の危機に瀕してはいないのですが、保護活動をやめるとすぐに絶滅危惧種になると考えられているのでこれからも保護活動を続けていく必要があるそうです。
ターシャの体の特徴
・概略
体は灰色の毛で覆われています。
中指がとても長いです。
体長は118-149mmで体重が113-142グラムです。
オスはメスより大きいです。
・頭
フクロウのようにターシャは頭を180度回転させることができます。
上唇には筋肉があるため表情を変えることができる。
大人の脳の重さは約4グラムです。
・目
体のサイズと比べるとターシャはの目はとても大きいです。
脳と胃よりも大きいとされています!!
目は頭蓋骨に固定されています。なので頭を動かす必要があるんですね。
ターシャの眼窩の骨は非常に発達しており、眼窩がお椀のようになっています。
この特徴によって眼球が側頭部にある大きな筋肉によって押しつぶされるのを防いでいます。
ほとんどの夜行性の霊長類が持っているタペータムをターシャは持っていません。
・耳
ターシャは耳を自在に動かすことができて、音の方向に向けることができます。
・歯
ターシャはとても鋭い歯を持っており、それによって獲物を簡単に捕まえられることができます。
霊長目の動物はたいてい門歯を4本持つのですが、ターシャの下あごには切歯が2本しかありません。
・距骨
「ターシャ」という名前は非常に長い距骨をもとにつけられました。
ターシャの脛骨と腓骨は下のほうで融合していて、衝撃吸収材として機能してます。
これは四足歩行動物の原始的な特徴であると考えられています。
下肢の長さは胴の2倍あるそうです。
これらの特徴のよってターシャは木から木へ3mも跳ぶことができます。
その動きはカエルに似ています。
・尾
ターシャは非常に長い尾を持っています(約230mm)。
尾はバランスをとるのにつかわれています。
習性
・寿命
ターシャの寿命は12~20歳。
・生息地
ターシャは樹上で生活します。木の幹の下部や竹などの植物の根もとで生活します。たまに木の上のほうのくぼみでも生活しています。
地面から1~2mのところで日中は休んでいます。
・夜行性
ターシャは夜行性です。彼らは夜に狩りを行います。
・群れ
ターシャは群れで生活していると考えられています。子育てはメスがもっぱら行います。オスが子育てしている姿は観察されたことがないそうです。
・食事
基本的には昆虫食です。ゴキブリとコオロギをよく食べる。ですが、たまに爬虫類、鳥、コウモリを食べることもあります。
飼育下のターシャではエビや魚も食べるそうです。
・鳴き声
ターシャはさまざまな種類の鳴き声を出します。
敵に出会ったときは鳥が出すような震えたような鳴き声を出します。
ターシャ同士でコミュニケーションをとる際は、バッタのような鳴き声を出すそうです。
メスは性成熟していることを表す独自の鳴き声を出します。
ターシャは一夫一妻制で、鳴き声を出してコミュニケーションをとっており、デュエットのように聞こえるそうです。
・においでのマーキング
オスは上腹部ににおいをだす腺があり、それを用いてマーキングを行います。
・生殖
子宮は原猿類と同じタイプですが、胎盤は真猿類と同じようなものを持っているそうです。
他のサルに見られない特徴として、三対の乳房を持つことがあげられます。
しかしたいていは1対のみが機能し他の乳房は機能していないことが多いです。
ほかの乳房は生まれたばかりの赤ちゃんがくわえて母親から離れないようにしています。
ターシャの妊娠期間はおよそ180日(6か月)で、1回の出産につき1匹しか生まれません。
ターシャはかなり成長した状態で生まれ、目はすでに開いていて、毛もかなり生えています。
生まれた時の体長は66-72mmで、尾の長さは114-117mm、重さは25-27gです。
生まれた赤ちゃんは生後2日で動き回れるようになります。
母親は子供を口にくわえるか、腹部の乳房をくわえさせて運びます。
巣は作りません。
メスは食事をとりに行くときは赤ちゃんを置いていきます。
赤ちゃんターシャは生後2日で木を登れるようになり、生後4日でジャンプできるようになります(早い!)。
生後約19日で子供ターシャは大人と同じように動けるようになります。
しかし、生後60日までは母乳で育てられるそうです。
2歳になるとターシャは性成熟し、交尾をするようになります。
メスの発情サイクルは23.5日で、交尾は一年中行われます。
いかがでしたでしょうか!?
調べてみるととても面白い動物であることが分かりました。
ですが、面白かったり貴重な動物というものはときに人間によって追いやられてしまいます…
ターシャの例に限らず、僕たちは自分たちの利益や欲望をコントロールしてもっと動物のことを考えていく必要があると思います。
読んでいただきありがとうございました!!
参考
https://www.bohol.ph/article15.html
https://www.britannica.com/animal/tarsier
http://www.tarsiusproject.org/philippine-tarsiers/
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